男はつらいよ

今日、衛星劇場男はつらいよ、続男はつらいよを見ました。今のような殺伐とした世の中でもない。高度経済成長期の真っ只中ではあるが人と人との間にまだ人情と言うものが有った。登場人物の皆が優しい人達です。それぞれがそれぞれを思いやりながら生きています。我が寅さんもそれなりに触れ合う人達を思いやりながら生きています。ただ有るのはボタンのかけ違いだけです。この映画は、そのかけ違いの中にトラブルがあり、笑いがあり、涙があります。私は森川信さんが演じたおいちゃんが1番好きです。松川さんや下条さんが演じたおいちゃんとは一味違うキャラでした。今でも柴又のパチンコ屋に行けばこのおいちゃんがタバコをくわえて玉をはじいていそうです。俺はもう駄目だ、おいまくら、さくら取ってくれ。馬鹿だねーあいつは。とかのせりふ。寅いわく、このおいちゃんは鼻くそを丸めた手で団子を握ってやがる。昭和40年頃の下町の商店街にいたおじさんそのものです。車屋のオヤジにぴったりの人でした。東野英二郎さんの散歩先生、もうああいう先生はいません。どういう先生かって?映画を見てください。続男はつらいよです。昭和40年頃にはああいう先生がまだ沢山いました。本当に師と呼べる先生です。NHKの中国の格差問題を扱った特番を見ました。中国の若いエリートと呼ばれる連中と出稼ぎに出るしか現金収入の無い農村の人達の格差。あそこまでひどくは無かったのですが昭和40年ころの日本もそうでした。家族を支える為に親が子供が都会へと働きに行きました。そして植木等さんの追悼番組です。無責任男、スーダラ節、そのうち何とかなるだろう。ハイそれまでよ。高度経済成長期のサラリーマンにがんばれとエールを送る、そういう歌でした。親と子が殺し合い、たかが女の取り合いで簡単に人の命をうばう。自分より弱いものがいるとよってたかって食い物にする。こんな平成の時代に生きていると昭和が懐かしい。皆が少しでもよりいい生活を目指してわき目も振らず働いた。結果、世界第2位の経済力と引き換えに大事なものを忘れてきてしまった。そんな思いがします。