大河ドラマに物申す。

国盗り物語 前編 斎藤道三

国盗り物語 前編 斎藤道三

風林火山 (新潮文庫)

風林火山 (新潮文庫)

功名が辻 (1) (文春文庫)

功名が辻 (1) (文春文庫)

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

初めて司馬遼太郎さんを読んだのはNHK大河ドラマ国盗り物語を見てからです。京都の一介の油売りが美濃一国の太守に登りつめるのであるがやがて実の子に打ち倒される。しかしその理想は婿の信長と弟子の明智光秀にに受け継がれる。やがて信長は天下を統一する寸前までいく。革命を遂行するために鬼のようになっていく信長もそれについていけなくなった明智光秀に討たれた。やがて光秀は信長の弟子である秀吉によって討たれる。斉藤道三という乱世の傑物とそれまでのしきたりのすべてを破壊する革命児信長、人間を道具としてしか扱わず役に立たなくなると簡単に捨ててしまう。格式と伝統を打ち壊す信長と相容れることの出来ない伝統を重んじる光秀、そして秀吉と家康。これほど面白い作品を書いた司馬遼太郎さんにはまってしまいました。その後明治期の小国、日本人の奮闘を描いた坂の上の雲を読み、翔ぶが如くを読む。幕末の動乱の中を政治ではなく己の初一念を貫いて生きた男、土方歳三を描いた燃えよ剣。時代が一人の英雄を作り出し、その役割が終わるといとも簡単に英雄の命も終わらせる。龍馬がいく。書き出したらきりが無いがほとんどのものは夢中に読みました。常に日本人とは何か。日本とはどういう国かを司馬さんはその作品の中で書き上げた。しかるにわが国営のテレビ局は国盗り物語は原作に忠実でよかったのだが、先、先回の新選組!(司馬さんの作品ではではないが)の体たらく。見事に歴史を捻じ曲げてくれました。子母澤寛や司馬遼の描いた新選組と作品の中見で比較にならない。そして今回の功名が辻。脚本がひどい。もう少し原作に忠実に仕上げてほしい。キャストに力を入れるのはいいが。視聴率を意識しすぎてないか。濃姫が変わりつつある信長に嫌気が指して家出を試みる場面などもってのほかだ。最近では茶々と三成との関係も唖然とする。せっかくの司馬作品が三谷ワールドとまでは行かないが軽薄な物語になっている。女性の視聴率を意識しすぎてませんか。アイドルの視聴率ほしさに走った新選組!はまだしも三谷ワールドだとして我慢できたが、今回の功名が辻はひどい。回を追ってひどくなる。キャストはいいのだが内容がひどい。どっちみちNHKは国営テレビ局なんだ。視聴率に惑わされてはいけない。もっと重厚なドラマを見せてほしい。NHKにしか出来ない採算を度外視しても骨太の作品をつくってほしい。過去大河ドラマは司馬さんの作品を多くドラマ化している。今回のはひどい。来年の井上靖さんの風林火山も同じようになるようではもう見る気にならないだろう。信玄と謙信はまだアイドルでもいいが、山本勘助はできれば緒方 拳でいってほしかった。過去につくった国盗り物語や、翔ぶが如くの様に重厚な作品を期待します。